春先のニホンジカは新芽が豊富な里山の田畑に集中します。
個体の密度も高く、群れになりやすい。
山の中、特に標高が高いところはまだ餌が少ないためニホンジカは少ない。
当然といえば当然。
そしてここのところ、ようやく山に植生が整い始めました。
山中にニホンジカの餌が豊富になったという事。
つまりはリスクの高い人里に近いところに留まる必要が無いってこと。
どこでも餌があるのでニホンジカの密度も下がり、各地へバラバラに。
私のエリアは冬は気温が下がり雪が降ります。
なので罠が埋まったり凍結したりと使えなくなってしまいます。
そして冬の猟期外、今の有害駆除の時期は木々が葉を付けてきます。
山中の視界が悪くなるので今度は銃猟がやりにくくなります。
つまり冬は銃猟、夏は罠猟というのがオードソックスなスタンス。
これらから分析すると、ここからは人の気配が無い標高の高い渡り道を狙った罠猟が有効だと考えています。
餌場を狙う方法でも捕獲はもちろん出来ます。
ただ、そういうピンポイントって安定して継続した捕獲は出来ないんですよ。
餌場での捕獲が続けばその餌場には寄り付かなくなります。
でも渡り道での捕獲はしばらく安定して捕獲できるんです。
何故かって、獣がエリアをまたいで移動する場合に通らなくちゃいけないところだから。
だからそもそも利用する個体が多いのです。
変な例えですが、今月2回ほど事件事故が起きたショッピングモールがあるとします。
なんだかそこに行くの控えませんか?
他でもいいじゃ無い?的な。
それとは別に今月2回事件事故が起きた高速道路。
特に通りが多いジャンクション。
でもその先には生活を維持するために必要な職場や取引先なんかがあります。
どうします?
もちろんどちらも控える方もいるでしょう。
けど絶対的に通行量が多いのは高速道路。
長い安定的な捕獲が可能。
実際には両方の特徴を考え、渡り道での安定した捕獲と、餌場での瞬間的捕獲を組み合わせています。
渡り道では長期的に罠は付けっ放し、餌場では頻繁に場所変え。
けど渡り道ってどこなの?ってなります。
これはスマホの愛用アプリGeographicaのスクショ。
自分の猟場とは無関係なところです。
まずこういう地図見て見当を立てるのだけど、出来るだけ東西南北に比較的一直線に長く続く尾根。
意外にこのアプリだと県市町村境の青い線が優秀だったりします。
次はそこに出来るだけ近くまで行ける道があるかどうか。
そしてその次は…
と色々注目点はあるのですが、最後が現地を毎日歩いて見る。
これに限ります。
ついつい直近の新しい獣の足跡に捉われがちですが、それだと不十分。
たまたま昨日群が歩けば足跡はベタベタ。
でも次くるのは何ヶ月も後かも。
本当に良い渡り道は月1回以上、必ず獣が歩きます。
新しい足跡痕跡が全く無いようでも月一回以上は絶対に来る。
罠で捕獲して現場が荒れようとも、また何も知らない別の個体が来る。
通る絶対量が多いから。
どうすれば分かるか。
答えは単純で毎日山を歩くこと。
これって大事な部分。
毎日罠の見回りはするけど、山を歩かない人もいる。
だけどそれでは微妙な山肌の変化は気付かない。
罠猟の適正って器用さでも賢さでもなく、ただマメな人なのかも。
労苦をいとわず物事にはげむこと。また、そのさま。勤勉。「―に帳簿をつける」「若いのに―な人だ」「筆―」
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まだまだ猟師3年生。
ただ初年度から有害駆除隊員になれる岐阜県郡上市。
やるからには本気で獣害から地域を守ると決めて始めた狩猟。
年間出猟日数約360日。
間違っているかもしれないけど今思う事はこんなところ。
これからもまだまだアップデートしたい。
いつか教本みたいなもの作りたいんだよね。
初心者用ではなくガチのやつ。
けど地域が違えば獣の生息数、種別が全く違う。
難しいのかなぁ。
駆除だけでなく有効利用まで。
なんとかしたいんだよね。
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