※この記事には凄惨な文章が書かれています
猪鹿庁のやっさんと話す中で、よく自分は近距離パワー型と言われる。
ゲームなどで突撃して前衛で攻めるタイプのキャラだ。
変わってやっさんは遠距離で魔法や弓を使う攻撃タイプだ。
狩猟で言うなら攻めきって力でねじ伏せるタイプが自分で、遠方から狙撃でクールに決めるのがやっさん。
この日の捕獲は親子であろうメスの鹿。
発見時は約50m先、上方。
見えるのは鹿の大腿部の側方のみ。
発砲してヒット。
致命傷にはならないが崩れる個体。
群れに発砲すればその他の個体は全力で散るのが普通だが、混乱して周囲を飛び回る小さい個体。
多分子供と判断。
もがく親個体に近寄り周囲を見回すも子は分からず。
まずは親のネックに発砲し止め刺し。
その銃声で近場から子が逃げるのが見える。
自身の経験上、親のそばに居付く子は遠くに逃げない。
全力で走って追いかけ尾根を越えれば想定通り子鹿が立っている。
自分を確認するや逃げ出すが親が来ないのもあって30m程先の木の裏で止まる。
見えるのは腹部のみ。
発砲。
貫通。
崩れる個体に近寄りネックショット。
捕獲優先のゴリ押し。
こういう判断は近距離パワー型の自分ならではだなと満足に浸るも子鹿の血抜きで手が止まる。
偶然なのか必然なのか。
涙にも見える子鹿の目尻。
手が止まる。
考える。
自分は人間目線で狩をしている。
集落を守るため、山の環境を整えるため、食べるため、自身の生活のため。
言葉では理解していたものの、彼らにも生きる理由があり、幸せがあるはずで。
他者の幸せを奪ってまで生きる意味ってなんだろう。
狩猟を初めてから数えきれない数の命を奪ったものの、初めて手が止まった今回の捕獲。
心が重い。
殺すことと頂くこと。
表現は違えど当人達からすれば奪われる以外何者でもない。
その奪った命をどうするのか。
それは自分たち捕獲者に委ねられる。
必死に生きてきた命を活かすのか殺すのか。
生きたい思いは生き物共通の根底。
そこを奪う自分はこの先に何に繋げることができるのか。
思い通りに捕獲できたものの、思いがまとまらない。
何かも分からぬ葛藤が芽生えた日。
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