痕跡から物語を読む。
久方ぶりに何かが罠にかかった形跡が。
動きが無いからおかしいなと思いつつも、気をつけながら罠に寄る。
なんとまぁ、より戻しがブチ切れているじゃないか。
本来のより戻しはこんな感じ。
獣が暴れてワイヤーが一方向に回転しても、金具がクルクル回ってよりを戻してくれるという物。
実際これがないと、獣が暴れることでワイヤーに捻れが生じ、最悪ワイヤーが捻じ切れることも。
その役割を持つ金具そのものが切れてしまった今回。
今までで2回目。
何が罠にかかったのかはその場のみの痕跡ではイマイチ把握出来ず。
範囲を広げて考察する。
50mほど離れたところにニホンジカの新しい足跡を発見。
サイズからしてきっと大型の成獣、多分3段角の雄鹿だろう。
向かう先には餌付け実験中のヘイキューブと罠が。
だけども餌を食べた様子は見受けられず。
よく調べると餌付けの手前で道を外れて飛んでいる。
基本意味もなく獣が飛んで逃げることはなく。
多分だけど餌付けと罠に気付いたんじゃないかな。
歳をとった個体ほど賢いのは事実。
今まで生きてきた中で、仲間が罠に捕獲されるところきっと何回も見ているであろう。
過去には群れを引き連れた雄鹿が、獣道から外れた罠の発信機のついた木に反応。
しばらく発信機の手間で足踏みした後、群れを引き連れてUターンして引き返した事例もあり。
きっとこいつも餌付けの不審さに察したのかもしれない。
で、その先にはさっきのより戻しが外れた罠が。
大型成獣がかかって暴れて、上手く金具に力がかかってしまえば壊れることもあるってこと。
もちろん新品のより戻しであれば耐え切った可能性もあるけど。
そういえば前回より戻しが壊れた時も、痕跡は明らかに大型成獣だったかな。
まぁ逃げられたからには仕方がない。
運の良い奴。
また山で会おう。
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